手の温度
癌で自宅療養されているご利用者様のお宅に訪問していた時のことです。
入浴のお手伝いで伺っていて、浴後にソファで休んでいただきながら、少しの間タッチケアをさせていただきました。
藤野さんと二人で伺ったのですが、お体に触れた途端
「あったかーい」
と驚いたような声をあげられました。
諸説ありますが、癌になる要因の一つに《冷え》が関係しているとも言われています。
私も普段は手が冷たいのですが、これって本当に不思議なことですが、訪問にお伺いして利用者さんと触れ合う時は何故か手が程良く温かくなるのです。
仕事中だからアドレナリンが湧き出るのか?
はたまた単に温めて差し上げたいという気持ちが念ずれば通ずでそうなるのか。
機序は不明ですが、どうやらご利用者様に触れるときの私の手は温かいそうです(笑)
皆さんご存知の通り、看護の《看》という字は《手》と《目》を合わせたもので、
目は、確かな観察をすることであり、その為のフィジカルアセスメントの研鑽は繰り返し言う通り、検査機器ですぐに対応できない在宅の看護師だからこそ身につけたいものです。
そして《手》は、技術と捉えることもできますが、やはり《手当て》というように、その手を使って目の前の看護を必要とする方に触れることだと思います。
最近の看護は、検査機器が便利になり、バイタルチェックさえ直接触れることなく測定可能なものが増えてきました。
でも私たちは便利な時代になったからこそ、看護における《手》で触れることを怠ってはいけないと思うのです。
手で触れて、感じて、そしてその温かさを感じてホッとしていただけること。
これからも触れることを大切にしながら、看護をしていきたいと思います。