最後のラブレター
8月にお看取りをさせていただいた方のお宅へ伺って来ました。
帰り際、ご主人が葬儀の際の《御会葬御礼》をくださいました。
それまで楽しく思い出話をしていたけれど、読んだ途端にこみあげてきてしまって…
「寂しくなるよ…
今日まで本当にありがとう」
かつて大半の時間 妻が立っていた我が家の台所。家族に美味しいものを食べさせたいと、いつも一生懸命料理してくれていた姿を思い出します。
パート勤めをしながら、ずっと家事と育児を両立してきた頑張り屋の妻は、料理の腕も一級品。何を作ってもとても美味しかったものです。
そんな光景が見られなくなってもうどれほどになるでしょうか。
病気が分かって はや七年。
病と向き合い、夫婦で懸命に治療に取り組んでまいりましたが完治の願いは届くことなく…
妻は静かな眠りにつきました。
そこにいるだけで自然と周りを明るくするような、大らかで優しい妻でした。皆で賑やかに過ごす時間が大好きでしたので、還暦のお祝いに家族でディズニーランドへでしたのでけた時は子供のように大喜び。
美しい花を鑑賞するのも好きで、よく四季折々の花を求めて近場から遠くまで旅行に行ったものです。
結婚して四十六年、妻は数えきれぬほどの幸せを私に残してくれました。
別れはつらいですが、大切な思い出と笑顔の面影を糧にこれからも歩んでいこうと思います。
生前心通わせ、支えて下さった皆様へ、深く感謝申し上げます。
素敵な会葬御礼でした。いや、これはもうラブレターだな。
こんなに《大好き》がたくさん詰まってる。
悲しいけれど、人と出逢うからにはいつか必ずお別れがある。
大切な人がいるからこそ、別れはつらい。
だけど、いつか来るその時、『ありがとう』って終われるように。